ページを作る前に、まず決めておくこと
こういうときに読む「このページ、事例っぽさも入れつつ、比較もできるようにしたいんです」と言われたとき

サイト制作の現場でよく起きるのは、ページの中身を思いつくまま足していくことである。しかし本当に最初に決めるべきは、そのページを見た人に、最終的に何を判断してほしいかという「仕事」である。
よくある誤解:ページの中身から先に考える
新しいページを作るとき、多くの現場はコンテンツの中身から積み上げていく。「うちの強みも書きたい」「事例も見せたい」「価格の目安もあった方が親切だろう」——思いつく要素を、良かれと思って一つずつ足していく。
その結果、一つのページの中に、性格の違う複数の役割が同居することになる。会社を知ってもらうためのページに、細かい比較材料が割り込む。価格を比較してほしいページに、感動的な創業ストーリーが差し込まれる。技術力を信頼してもらうためのページの一番目立つ場所に、今すぐ問い合わせを迫るボタンが置かれる。どれも単体では悪くない情報だが、混ざった瞬間に、読み手はそのページで何をすればいいか分からなくなる。
実際はこう:ページには「読み手が解きたいこと」がある
ページには、読み手がそこで解きたい問いが、たいてい一つある。「何をしている会社か、自分に関係があるか」を確かめたい、理解のためのページ。「どれを選べばいいか」を決めたい、比較のためのページ。「本当に任せてよいか」を見極めたい、信頼のためのページ。「いま何をすればいいか」を知りたい、行動のためのページ。
同じ会社のサイトの中でも、ページごとにこの仕事は違う。コーポレートトップは理解の仕事を担うことが多く、製品比較ページは比較の仕事を担う。この二つを一つの画面で同時にやろうとすると、どちらの読み手も置き去りになる。理解したくて来た人は、いきなり細かい比較条件を突きつけられて疲れてしまうし、比較したくて来た人は、会社の理念を読まされている間に離脱してしまう。
なぜそうなるか:良かれと思って足したものが、判断を遅らせる
要素を削れないのは、たいてい怠慢ではない。「せっかくだから」「知っておいてもらった方が親切だから」という、読み手への気遣いが裏目に出ていることが多い。
しかし読み手は、ページを開いた瞬間に、自分がいま理解したいのか、比較したいのか、行動したいのかを、ほとんど無意識に判断している。目的の違う要素が並んでいると、その判断そのものが遅れる。丁寧に足したはずの情報が、かえって「この会社は、自分に何をしてほしいか整理できていないのでは」という印象につながってしまう。
現場ではこうする:作る前に、仕事を一つだけ決めておく
ページに着手する前に、主目的を一つ、従目的があるとしても最大一つまでと決めておく。そのうえで、見出しや冒頭の説明、次に押してほしいボタンが、その目的をちゃんと支えているかを見比べる。
目的と関係のない要素が見つかったら、削るか、別のページ・別のセクションに移す。「せっかく作ったから」「もったいないから」という理由で残さない。確認の仕方はシンプルで、「この画面で最初に目に入る場所と、いちばん押してほしいボタンは、決めた目的をちゃんと支えているか」を見比べるだけでよい。一つのページが一つの仕事に集中して初めて、読み手はそのページで何をすればいいかを迷わずに判断できる。
自社で確かめる3つの質問
- このページを見た人に、最終的に何を判断してほしいか、一文で言えるか。(理解・比較・信頼・行動のどれか)
- ページの中に、その判断と関係のない情報や、別の目的を持つ要素が混ざっていないか。
- 「あれもこれも必要」と感じたら、それは一つのページの話ではなく、二つのページに分ける話ではないか。
この記事の根拠・出所
ページが担う仕事を「理解・比較・信頼・行動」の四つに分けるという整理は、外部の学術調査や統計ではなく、ひきだしがサイト設計の実務から整理した見解です。特定の企業のサイトを想定した記述ではなく、これまで見てきた傾向を一般化して書いています。
