サイトづくり

生成AIでページを追加しても、既存サイトになじませるための3つのコツ

こういうときに読む「生成AIでページを作ってみたんですけど、なんだか浮いてる気がして」と言われたとき

ページを追加するたびに、サイトが少しずつばらばらになる。原因は、たいていデザインのセンス不足ではない。

ページを追加するたびに、サイトが少しずつばらばらになる

コラムを追加した。サービスページを一枚増やした。キャンペーン用のページを急いでつくった。

そのときは問題ないと思っていたのに、気づくと、ページごとに見出しの大きさが違う。ボタンの形が違う。使われているフォントも微妙に違う。スマートフォンで見たときの余白も、ページによってばらばらになっている。

一つひとつは小さな違いです。けれど、積み重なるとサイト全体が「なんとなく安っぽい」「しっかり管理されていない」ように見えてきます。

多くの会社では、個性を出すために崩しているのではありません。担当者が変わったり、部分的な修正を重ねたり、急いでページを追加したりするなかで、既存サイトのルールを維持できなくなった結果として、少しずつ崩れていきます。

この記事では、WordPressなどのCMSで運用している既存サイトに、生成AIを使って新しいページやパーツを追加するとき、サイト全体の印象を崩さずになじませるための3つのコツを紹介します。

同じサイトの中の4ページを、左右で比べた図。左は4枚のうち1枚だけ見出しが太くボタンが大きく、色も違っていて浮いている。右は4枚とも同じ見出しの太さ、同じボタンの形、同じ余白で揃っている。違いは1ページの出来ではなく、既存のルールに合わせたかどうかにある。 思いついた順に足していくと 既存のルールに合わせると 1枚だけ違う=浮く 同じルールで揃う
新しいページを作るときに大切なのは、目立つデザインを足すことではなく、既存サイトのルールになじませることです。

サイトが崩れる原因は、デザインのセンス不足ではない

サイトの見た目がばらばらになると、「デザインを整え直さなければ」と考えがちです。

しかし、原因は必ずしもデザインのセンス不足ではありません。むしろ多いのは、既存サイトにどんなルールがあるのかを確認しないまま、新しいページやパーツを追加してしまうことです。

WordPressなどのCMSで作られたサイトには、すでにさまざまなルールがあります。

見出しには見出しの階層があり、本文には本文の文字サイズがあります。ボタン、カード、囲み枠、画像の配置にも、テーマやサイト独自の設定が使われています。フォント、色、余白、コンテンツの幅、スマートフォン表示の切り替え方も、CSSやテーマの設定によって決まっています。

つまり、新しいページをつくるときに、毎回ゼロから見た目を考える必要はありません。

先に確認すべきなのは、「何を新しく足すか」ではなく、すでにあるものの中から、何を使えるかです。

まずは、既存のパーツを使う

新しいページを追加するときは、次の順番で考えます。

優先すること 確認する内容
既存のパーツを使う 見出し、ボタン、カード、囲み枠、画像レイアウトなどに既存のものがないか
既存の設定に合わせる フォント、色、文字サイズ、余白、コンテナ幅が既存ページと合っているか
既存のクラスを再利用する 同じ役割のCSSクラスやコンポーネントがすでに定義されていないか
新設は最後にする 既存パーツでは実現できない理由があるか、その範囲を説明できるか

たとえば、見出しを目立たせたいからといって、ページごとに文字サイズや色を個別指定する。ボタンを目立たせたいからといって、新しい形やアニメーションを追加する。

こうした変更は、そのページだけを見れば魅力的に見えるかもしれません。しかし、サイト全体で見ると、既存のルールから外れたパーツが増えていきます。

左に、既存サイトにすでにある部品――見出し、段落、ボタン、カード、囲み枠、画像――が並んでいる。右は新しく追加するページで、その6つの部品だけを組み合わせて作られている。新しく作った形は1つも使っていない。 すでにある部品 新しく追加するページ 見出し 段落 ボタン カード 囲み枠 画像
新しいページを追加するときは、ゼロからデザインする前に、CMSや既存サイトに用意されているパーツを探します。

既存のパーツを使うことは、表現を諦めることではありません。サイト全体の一貫性を守りながら、そのページの役割を果たすための設計です。

「個性」と「崩れているだけ」は、どこで分かれるのか

サイトのすべてを完全に揃える必要はありません。写真の見せ方や、特定のキャンペーンページの表現など、部分的に変化をつけることはできます。

ただし、その変化が「個性」として受け取られるには、崩していない部分が守られていなければなりません。

見出しの見せ方は少し変えていても、本文の読みやすさ、ボタンの役割、問い合わせへの導線が一貫している。キャンペーンページだけ表現を変えていても、サイトのフォントや色、コンテンツ幅は共通している。

このように、変えてよい範囲と、変えてはいけない範囲が決まっていれば、変化は意図した表現として受け取られます。

反対に、ページを追加するたびに見出し、フォント、余白、ボタン、画像の扱いまで変わっているなら、それは「あえて崩している」のではなく、既存のルールを維持できていない状態かもしれません。

生成AIにコーディングを頼むとき、いきなり「ページを作って」と言わない

最近は、生成AIにHTMLやCSSを書いてもらい、サイトの一部を自分で修正したり、新しいページを追加したりすることもできます。

これは便利な方法です。ただし、生成AIにいきなり「サービス紹介ページを作って」と依頼すると、生成AIは一般的には整って見える、新しいデザインを考えて出力します。

そのデザインが、今のサイトになじむとは限りません。

生成AIに依頼するときは、作りたいページの内容だけでなく、既存サイトのルールを先に渡すことが大切です。

具体的には、次のような情報を共有します。

渡す情報 生成AIに理解させること
既存ページのHTML 見出し、ボタン、カードなどの構造
既存のCSS クラス名、色、フォント、余白、コンテナ幅
CSS変数 サイトで使っている色やサイズの基準
テーマやテンプレートの設定 CMS側で決まっている表示ルール
参考にしたい既存ページ 新しいページをどのページになじませたいか
使ってはいけないもの 新しいフォント、色、大幅な装飾など
既存ページのHTML、既存のCSS、テーマ設定、参考ページの4つを先に生成AIへ渡し、その4つを読み取らせたうえでページを出力させる流れの図。ページの内容だけを渡すと、AIは新しいデザインを考えてしまう。 既存ページのHTML 見出し・ボタン・カードの構造 既存のCSS クラス名・色・余白・幅 テーマ設定 CMS側で決まっている表示 参考ページ どのページになじませたいか 生成AI すでにある装飾を優先して当てはめる なじむ追加ページ
生成AIに「ページを作って」とだけ頼むのではなく、既存HTML・CSS・テーマ設定・参考ページを渡し、既存のルールを優先するように依頼します。

そして、依頼の仕方も変えます。

「新しいデザインを提案してください」ではなく、次のように依頼します。

以下の既存サイトのHTML、CSS、テーマ設定を前提に、サービス紹介ページの一部を作成してください。

最優先することは、新しいデザインを提案することではなく、既存サイトになじませることです。

・既存の見出し階層(h2、h3)を使う
・既存のフォント、色、文字サイズ、余白、コンテナ幅を優先する
・既存のボタン、カード、囲み枠のクラスがあれば再利用する
・新しいCSSクラスを作る前に、既存クラスで実現できないか確認する
・新しいフォント、色、装飾、ブレークポイントは追加しない
・既存CSSを上書きする場合は、その理由を説明する
・PCとスマートフォンの両方で、既存ページと同じルールになるようにする
・最初に、読み取った既存のデザインルールを整理してからコードを出力する

以下が既存サイトの情報です。
[既存HTML]
[既存CSS]
[テーマ設定]
[参考ページ]

ポイントは、生成AIに「それっぽいページ」を作らせるのではなく、既存サイトのルールを読み取ったうえで、そのルールの中に新しいページを組み込ませることです。

うまくいけば、新しく追加したページなのに、もともとサイトにあったかのように、しれっとなじませることができます。

生成AIの出力を、そのまま公開しない

既存のHTMLやCSSを渡しても、生成AIがすべてを正確に理解できるとは限りません。クラス名を読み違えたり、CMSの仕様と合わないコードを出したり、スマートフォン表示で意図しない崩れが起きたりすることがあります。

そのため、生成AIがコードを出したら、公開前に次の点を確認します。

確認項目 見るポイント
見出し 既存ページと同じ階層、サイズ、見た目になっているか
フォントと色 新しいフォントや色を勝手に追加していないか
パーツ 既存のボタン、カード、囲み枠を再利用しているか
余白と幅 既存ページと同じ間隔、コンテンツ幅になっているか
スマートフォン表示 横にはみ出したり、文字が読みにくくなったりしていないか
既存ページへの影響 追加したCSSが、ほかのページを壊していないか
生成AIに任せる範囲と、人が確認する範囲を分けた図。左側でAIがコードを書き、既存クラスを再利用する。右側で人が、既存ページと同じ見た目になっているか、ほかのページを壊していないかを確認する。通ったものだけが公開される。境目にあるのは技術ではなく、何を守るかという判断である。 生成AIに任せる 公開前に人の目でチェックする 既存のHTMLとCSSを読み取る 既存のクラスを再利用してコードを書く 読み取ったルールを整理して示す 既存ページと同じ見た目になっているか スマートフォンで崩れていないか ほかのページを壊していないか 通ったものだけを公開
生成AIが出力したコードは、既存ページとの見た目と動作を確認してから公開します。AIに任せる範囲と、人が確認する範囲を分けることが大切です。

生成AIを使うことで、部分的なコーディングのハードルは下がります。しかし、サイト全体のルールを理解し、何を守るべきか判断するのは、依然として人の役割です。

自社で確かめる3つの質問

  1. その違いは、ページや自社の役割と結びついているか。 なぜこのページだけ見た目が違うのか、理由を一文で説明できるでしょうか。「キャンペーンページだから」「職人の人柄を伝えるページだから」など、役割や伝えたい価値と結びついているなら、意図した変化かもしれません。ただ「目立たせたかった」「生成AIがそう提案したから」だけなら、もう一度見直したほうがよいでしょう
  2. 何を変えてよく、何を揃えるのか決まっているか。 担当者が変わっても、制作会社が変わっても、同じ判断ができるでしょうか。「ここは自由にしてよい」「ここは既存の設定を使う」という線引きが言葉になっていなければ、次のページを追加するときに、また別の判断が生まれます
  3. その違いによって、顧客の行動を邪魔していないか。 見出しは読めるか。情報を比較できるか。必要な仕様や価格にたどり着けるか。問い合わせ先が迷わず見つかるか。表現を変えることはできます。しかし、読みやすさ、探しやすさ、比較しやすさ、問い合わせやすさまで損なってはいけません

三つの質問に答えられるなら、その違いは残してよいかもしれません。答えに詰まるなら、それは個性ではなく、既存サイトのルールを維持できていないだけかもしれません。

まとめ:新しいページは、ゼロから作らなくていい

サイトに新しいページを追加するとき、毎回新しいデザインを考える必要はありません。

まず、既存の見出し、フォント、色、余白、ボタン、カード、CSSクラス、CMSの設定を確認する。次に、すでにあるパーツを優先して使う。どうしても新しいものが必要なときだけ、理由と使用範囲を決める。

生成AIにコーディングを依頼する場合も同じです。既存のHTMLやCSS、テーマ設定、参考ページを渡し、「新しい見た目を発明する」のではなく、「既存のルールを優先して、サイトになじむように組み込む」と伝えます。

そうすれば、部分的にページを追加しても、サイト全体の印象を壊さずに済みます。

新しいページなのに、もともとそこにあったように見える。

そのくらい、しれっとなじむページをつくることが、CMSでサイトを運用するうえでの、ひとつの品質なのだと思います。

この記事の根拠・出所

この記事は、ひきだしがWebサイトの診断・構築・運用支援の実務から整理した見解です。特定の学術調査や統計を根拠とするものではありません。