サイトづくり

「安っぽく見える」の原因は、たいていデザインではない

こういうときに読む「うちのサイト、なんか安っぽく見えるって言われるんです」と言われたとき

サイトが「安っぽく見える」と言われたとき、色や余白を直しても印象が変わらないことがある。見た目の調整で直せるのは原因のごく一部で、残りはデザインとは別の場所にあることが多いからだ。

よくある誤解:「安っぽい」は色やフォントの問題

「なんとなく安っぽい」という感想を受け取ると、反射的に配色を変える、フォントを大きくする、写真を差し替えるといった対応に向かいがちである。改善案の多くも「もっと洗練された配色に」「余白を広く」といった、見た目の提案から始まることが多い。

しかし、それで印象が変わらないことは珍しくない。色を変えても、余白を広げても、「なんとなく頼りない」という感覚だけが残る。この段階で見た目の手直しを重ねても、原因が別の場所にあれば、かけた労力に見合う変化は起きない。

実際はこう:見た目のルールで直せるのは、原因のごく一部

サイトの印象が崩れて見える理由を分けていくと、実はいくつかの異なる種類の不足が混ざっていることが多い。

  • 誰のための、何のためのページかが決まっていない(目的の不在)
  • 情報の重要度が、位置や大きさに反映されていない(優先順位の不在)
  • 主張のそばに、具体的な裏付けがない(証拠の不足)
  • 余白や文字、部品の扱いがページごとにばらばら(ルールの不在)
  • スマホでの読みやすさや、フォームの使いやすさが検証されていない(利用状況の想像不足)
  • 更新の責任者が決まっておらず、古い情報が放置されている(運用の不在)

このうち、色・余白・フォントといった「見た目のルール」を整えることで直せるのは、この中のごく一部にすぎない。残りは、ページの企画や、取材・素材集め、運用の体制づくりといった、デザインの外側にある仕事である。

なぜそうなるか:デザインが、他の不足を肩代わりさせられている

見た目の調整に効果が出にくいのは、目的や優先順位、証拠が定まらないまま、デザインだけに解決を期待してしまうからである。誰に何を伝えるかが曖昧なままレイアウトを整えても、情報の重要度までは伝わらない。主張を裏付ける実例や写真がないまま配色だけを変えても、信頼は生まれない。

言い換えると、「安っぽい」という印象の多くは、この会社は自分たちのことを整理できていないのではないか、という無意識の疑いである。整理の不足を見た目の調整だけで埋めようとすると、根本の疑いは残ったまま、表面だけが変わって終わる。

現場ではこうする:症状ではなく、原因の場所を先に特定する

改善の順番を間違えないためには、「安っぽい」「ごちゃごちゃしている」といった感想を、そのまま修正の指示として受け取らないことが要る。まず、その感想がどこから来ているのかを一段掘り下げる。

たとえば「情報が多くて読みにくい」という感想は、余白を増やせば解決するとは限らない。本当の原因が情報を絞り込めていないこと(優先順位の不在)にあるなら、余白をいくら足しても、読みにくさの正体は残る。逆に「主張に説得力がない」という感想は、文章を書き直すよりも先に、具体的な実例や写真といった裏付けを足すほうが効くことが多い。

見た目に手を入れる前に、「この感想は、目的・優先順位・証拠・ルール・利用状況・運用のどこが空いているために出ているのか」を一度立ち止まって確かめる。それだけで、直す順番も、誰が担当すべきかも変わってくる。

自社で確かめる3つの質問

  1. 「安っぽい」「なんとなく頼りない」と言われたとき、それは色や余白の話か、それとも「誰に何を伝えたいかが定まっていない」話か。
  2. 主張のそばに、具体的な実例・実写・お客様の声など、裏付けと呼べるものが置いてあるか。
  3. 見た目を直す前に、そのページの目的と、伝える情報の優先順位を、一文で言えるか。

この記事の根拠・出所

ここで挙げた六つの分類(目的・優先順位・証拠・ルール・利用状況・運用)は、外部の学術調査や統計ではなく、ひきだしがサイト診断の実務から整理した見解です。特定の企業のサイトを想定した記述ではなく、これまで見てきた傾向を一般化して書いています。